ちょっとした違いなんですけどね(カタカナ言葉にまつわるお話)
職業柄、言葉の間違いは人一倍気を使わねばなりません。当然ですよね。言葉を書くことでご飯を食べているんですから。ところが、話し相手が、あるいは他の方が書いた文章を見て、あっ!それ、違うんだけどなぁという時、結構困ってしまいます。
先日も、ビジネス文書を見ていますと、「事業の収支シュミレーション」と書かれた資料が参りまして、「いやいや、それは“シミュレーション”だから」と、仕方なく私の方で修正をさせていただきました。
模擬実験などを意味するsimulationという英語は、ビジネスの現場だけでなく、教育などの場でもよく使われる言葉。当然、カタカナ言葉として一般的に使われますが、結構「シュミレーション」と言われたり書かれたりしているようです。ですが、シミュレーションが正解。実際、パソコンなどで打ってみてください。基本的に「出ません」。通常、“趣味レーション”などと変換されてしまいます。もし“シュミレーション”って一発変換されたら、誤変換です(笑)。
同じような例で、「フィーチャー」という単語があります。一例ですが、「80年代の洋楽をフィーチャーしたCM」なんて感じで使われます(実は、語源となっている英語の用例を見てみますと、これも誤用ではないかという考え方もあります)。しかし、フィーチャーではなく、「フューチャー」と書かれているケースが結構あります。話し言葉の中でもフューチャーとおっしゃる方、いらっしゃいますね。ですが、featureが元の言葉ですから、フィーチャーが正解。
この2つの言葉はビジネス現場でよく使われる単語ですが、カタカナに直すと面倒ですよね。ちょっとした違いなんですが、もしフィーチャーをフューチャーと言ったら、未来に行っちゃいますよ!(笑)
カタカナ言葉は使いやすく、また言葉に格好良さであるとか、音の響きがいいという理由でよく使われます。私も一時期「業界かぶれ」のようなところがあり、カタカナ言葉を多用していましたが、最近はできるだけ控えています。それでもIT用語はカタカナ言葉だらけ。日本語への変換が追いつかない、あるいは「諦めた」ということもありますし、そもそも変換できない言葉もあります。無理に変換しても、かえって分かりづらくなる言葉もありますので、そうしますと、カタカナ言葉と上手く付き合っていく必要がありそうですね。
同様に、最近では社名もこれに似たような状況があります。例えば、台湾のパソコンメーカーの「ASUS」(日本ではパソコンやスマートフォンのメーカーとして有名ですが、パソコンの基盤の一つであるマザーボードでは世界シェアトップ)。「アスース」だとか「エイサス」など、いろんな呼ばれ方をしました。同社の社長は、「どんな呼び方でもいい」と、寛容な姿勢だった頃もありましたが、日本法人では「エイスース」で落ち着いたようです。
言葉の世界は人々の暮らしに最も身近で、最も奥の深い世界の一つ。皆さんはこの言葉の世界で「言い間違い」、ありませんか?たまーにこんなことを考えてみるのも楽しいかもしれませんよ。
次回もお楽しみに!
コメント
これは 言い間違いなのかどうか…。
ちょっと年配の方が 「そんなん メンソレターム塗ったら治るやろ!」って! それって メンソレータムとメンターム合体してません?っ心の中で呟いた私です。
拝読しながら この話しを思い出しました(笑)
ひーちゃんさん、コメントありがとうございます!がっちゃんこ系の言い間違い、まさに「あるある」です(笑)!カタカナ言葉ではありませんが、私が塾講師時代によくあった、生徒の「がっちゃんこ系」言い間違いは、中国の河川「長江(揚子江)」が「長子江」(ちょうすこう)になっちゃう件でした(笑)。
生徒さんの 珍回答? 沢山ありそう(笑)
ひーちゃんさん、コメントありがとうございます!ズバリ、ネタの宝庫です(笑)