毎週月曜日は、私の好きな音楽・映画をご紹介しています。
その前に、週末は大変な出来事がありました。
去る7月3日(土)、静岡県熱海市伊豆山地区におきまして、大規模な土石流が発生しました。多くの方が巻き込まれ、多数の行方不明者が出ております。この場を借りて、被害に見舞われた皆様にお見舞い申し上げます。犠牲になられた方に対し、謹んで哀悼の意を表します。そして早期の復旧を心より願っております。
では、今日の本題。今回は「Movie」です。
気を取り直してまいりましょう。今回は「男の友情たっぷりの映画」をお送りします。
よく「男と女の間に友情は成立するか?」というネタが話題になることがあります。のりべぇは元来、「成立する」派だったのですが、ある時、ガツンと言われてしまいました。「それ、のりべぇがモテないっていうことじゃないの?」
ガチョ~ン!!
思いっきり図星をつかれ、衝撃を受けたことがあります。でも、多分そういうことだと思います…。
つまらない前フリはともかく、ハリウッド映画と言いますと、結構これがテーマの作品、多いですよね。特に西部劇。戦争映画も多いですね。これには明確な理由がありまして、いずれも戦場(西部劇で「戦場」というかはさておき)が舞台であり、そこには(基本的に)女性がいないということです。もっとも、近年の戦争映画には前線で戦う女性の姿もよく出てきますが、少なくてもベトナム戦争あたりまではほとんど女性の姿はありません(前線には、という意味ですよ)。
となると、結構男同士の話になることがあり、敵から仲間を守るとかなんとかというストーリーになれば、自ずと男の友情がテーマになります。
ですが、今回ご紹介する2作品は「土臭さ」や「火薬臭さ」はあまりありません。ですが、「男臭さ」は十分感じられます。では早速、その2作品をご紹介します。
ちょろい仕事のはずが、とんだ大騒動に。でも次第に互いを理解し合うことに。
「Midnight Run / ミッドナイト・ラン(1988年)」
(あらすじ)
実はタイトルの「ミッドナイト・ラン」こそ、「ちょろい仕事」を意味するスラング。横暴な賞金稼ぎジャック(ロバート・デ・ニーロ)に課せられた仕事は、麻薬王の「会計士」で、なんと彼の金を横領して慈善団体に寄付しちゃったという、善人なのか悪人なのかよくわからない男ジョナサン(チャールズ・グローディン)の、ロサンゼルスへの「連れ戻し」。ニューヨークでいとも簡単にジョナサンを捕まえたジャックだったが、ほんの5時間のフライトで済むはずの「護送」が、なぜかトラブル続き。おまけに麻薬王の手下(つまりギャングね)だのFBIだのに追われ、飛行機から車・鉄道(アムトラック)に交通機関を切り替え、一路ロサンゼルスを目指す。当初はいがみ合っていた二人だったが、その道中で互いの秘密、真実を知るや、次第に互いを理解し合うことになる…。
(アクションコメディ界「最高傑作」の一つです)
まぁ、ロバート・デ・ニーロが主演ですから、ほぼハズレ無し、と言っても過言ではないのですが、共演がコメディ映画「ベートーベン」の主役、チャールズ・グローディンとくれば、ますますハズレ無しのキャスティング。実際、この二人の掛け合いに「リアルな化学反応と関係性」を感じたとは、監督、マーティン・ブレストの弁。
ストーリー進行は当時の作品にしては少々速いテンポなのが特徴。しかしそのテンポが実に小気味良いわけです。時にアクション、時にコメディ。これが幾重にも重ねられて行きます。前回の「Movie」でご紹介した「大災難」を思い出させる展開ではありますが、なにせギャングだのFBIだのに追われるシーンが挿れられていますので、緊迫した場面が作品の緩さをキュッと引き締めます。
最後に一つだけ申し上げるとすれば、ネタばらしはしませんが、できればエンディングまで一気にご覧いただくことをおすすめします。それだけお話させて頂きつつ、本作品のご紹介とさせていただきます。
「是非見てみたい!」という方はこちらをどうぞ!しかも今回ご紹介するのは、「吹替映画史上最高傑作」と呼ばれる、テレビ朝日放映版の吹替音声も入っている、「1枚で2度楽しめる」ブルーレイディスクのご紹介です。
真実を追うという使命に取り憑かれた二人。しかし敵はすぐそこに迫っていた。
「The Killing Fields / キリングフィールド(1984年)」
(あらすじ)
アメリカ人ジャーナリスト、シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、地元新聞記者で通訳のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)と共にカンボジア内戦を取材。次第にポル・ポト率いる「クメールルージュ」が優勢となり、アメリカ軍が次第に撤退を始める中も、懸命な取材を敢行。そんな中、シドニーはプランとその家族をアメリカに亡命させるべく手配をするが、プランは単身カンボジアに残り、シドニーとともに取材を続行する。
ついにクメールルージュは同国首都プノンペンに侵攻。当初は歓迎された彼らだったが、ついにその正体を明らかにするや、首都は大混乱。最後まで残った一部の人はフランス大使館へと避難する。しかしクメールルージュは次々と避難してきたカンボジア人を連行。このままではプランも連行されてしまうということで、シドニーたちはプランにパスポートを偽造するのだが、最後の最後で、写真の現像に失敗。結局プランは大使館をあとにし、クメールルージュによる非人道的な強制労働に加えられてしまう。
プランを見殺しにしたとかつての仲間に非難され、自責の念に駆られるシドニー。一方、プランは自分がインテリ層であることを隠しつつ、懸命に強制労働の環境からの逃亡を図る。
ついにプランの消息を掴んだシドニーは、彼が身を寄せる難民キャンプへ向かい、感動の再会を果たす。
(事実に基づいた感動の作品です)
今でもカンボジア内戦(1967−1975。広義の意味でのカンボジア紛争を指す場合は−1993)について、我々が学校で習う内容は非常に乏しく、内戦後のクメールルージュが行った大量殺戮に関する内容を教科書で目にする程度かと思います。近年、カンボジアへの観光も盛んになり、映画のタイトルとしてではなく、政治犯収容所刑場跡の俗称としてご存じの方もいらっしゃるかもしれません。数多の人骨を目の当たりにし、ショックを受ける方も多いと思いますが、これが現実です。
事実に基づいた作品である以上、とても重い内容です。ショッキングな場面もあり、家族で見られる作品とは少々言い難いかもしれません。しかし、海外に伝わりきれない、カンボジア内戦の真実を追及するという使命に取り憑かれたジャーナリストたちの生き様と、その中で自然と生まれる男同士の友情を、あえてこの作品で感じ取る。私にはとても貴重な体験でした。
娯楽作品としては重い内容ですが、ぜひ視点を変えて見てみるのもオススメです。政治的に作品を捉えるのではなく、あえて娯楽作品として観ていただければと思っています。男たちの友情がどう描かれているか、そして後半に描かれた、苦悩するシドニーと、懸命に生きようとするプランの、対象的な運命…。約140分と、少々長い上映時間ですが、じっくりとご鑑賞ください。
(注)ところが!現在Amazonをはじめ、複数のサイトで調べましたところ、なぜか日本版のDVD、Blu-ray共に検索されない事態が発生しております(あるのは英語版で、「日本では再生できない」地域設定がされている商品か、中古の商品のみ)。購入可能になりましたら、改めてこのブログでご紹介させていただきます(もし次回ご紹介できたら、その後の入手が困難になるかもしれません)。現状ではぜひ、お近くのレンタルショップ、あるいはネットレンタルでご鑑賞ください。
次回もお楽しみに!
(敬称略)
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